

かつて、富士急ハイランドに凄まじいG体験の出来るコースターが存在しました。それはムーンサルトスクランブルです。
現在、富士急の代表コースターはFUJIYAMA、ドドンパ、ええじゃないか、ですが、当時の富士急を代表するコースターは、ジャイアントコースター、ダブルループ、ムーンサルトスクランブル、でした。
中でもコースターファンに強烈なインパクトを与えていたのが、ムーンサルトスクランブルだったのです。

史上最強のG体験!!
とんでもないマシンだったのを鮮明に覚えています。最大加重力は6,5Gですが、感覚的には7Gに近かったと言われています。
後ろ向きで落下した後、後方宙返り&ひねりの部分で最強の重力が自分の体に襲いかかるのです。そのGのかかり方が凄まじく、全身がシートに「グワーッ」と押さえつけられ、脳が少しずつ記憶を無くしていく感覚と、一瞬、気絶寸前の限界ギリギリ状態までもってかれます。この瞬間、顔が歪んでしまうので、とても危ない感覚になります。
このハート型宙返り&ひねり部分では、長時間に強烈なGがかかり続けるので、あまりの凄さに乗り終わってから、貧血状態に近くなり、しばらくまともに歩けなくなってしまう程の強烈なコースターでした。中には、ムチ打ちで首を痛めた方もいます。それぐらい凄かったので、快感やスリルというものより、体へのダメージが最大級に強烈なコースターでした。
1回乗ると、もう勘弁!!と、その場から離れてしまいたいと思うようなコースターで、連続で好き好んで乗る人も限られていました。ブレーキがかかった時に、駅舎内に漂うゴムの焼け焦げたような匂いが、とても印象的だったのを覚えています。
ムーンサルトスクランブルのプラスGを体験してしまうと、他のコースターのプラスGがおとなしく感じてしまうものです。

これほど過激な重力体験が出来たコースターは、世界に2つとない貴重な存在だったのですが、2000年の4月にムーンサルトスクランブルは、世界最強の重力コースターとしての幕を閉じ、営業終了となりました。
ムーンサルト跡地の一部分は、今ではドドンパが走っています。


